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2010年4月

Essex County Councilを訪問

 Essex County Councilを訪問した。ロンドンから電車で1時間程度の田舎町。車窓も大変に美しい。
 ICTコーディネーター・アドバイザーの役割をお聞きするのが目的だ。いろいろ聞いていくと,今回はパターンが異なった。ICTコーディネータの給料は,教委がまかなっており,学校からお金を集めて支払っている訳ではないとのこと。ただ,2011年からは他のLAで聞いた通りになると聞いた。政権が変われば,教育予算の大幅減は避けられないし,たとえ学校からお金を集めたとしても,今いる20数名のメンバーは半減されるだろうとのこと。既に肩たたきが始まっていると聞いた。しかし,これはICTに限らず,全ての教育部門で起こることといっていた。仕事の内容も,学校と教委の契約となっていないからか,ICTを活用したカリキュラム作成や実施の支援といったことがメインであり,ラーニングプラットフォームの導入とサポートは少し脇になっていた。そして,これは,どこでも同じであるが,e-safetyが仕事としてもかなりメインのようである。
 日本のICT環境についても話題になった。貧弱な環境について,英国のこれまでの施策のうち,教員へのパソコンの整備など効果のあったことを教えてくれた。ある程度は知っていたけど,重要な点を教えてくれた。教室へのICT環境整備については,電子黒板は高いので,プロジェクタで充分だと力説していた。期せずして,同じ意見を聞くことが出来た。このエリアではまだ日本のような教室が数は少ないが残っているとのこと。予算の問題,教員のスキル(教員が大切にしていること)などを総合的に考えて,この結論の選択も充分にあり得るとのことだった。ただし,この担当の先生は,電子黒板はバリバリに使えるし,研修はバンバンとやっていたとのこと。
 これで英国滞在中の視察は全て終了した。あと残り1週間。まとめをし,アブリル先生に報告して帰国となる。

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bromley教委を訪問

 4カ所目のICTコーディネータへのインタビュー。ここでは4名のICTコーディネータが働いており,100校弱の学校を対象にしている。やはり,ここでも,国からの予算は学校に直接配分されるので,学校は教委から受けるサービスについての契約をし,その対価として,教委にお金を支払うそうだ。つまり,ICTコーディネータの賃金は,学校からもらったお金とも言える。学校はお客様という言い方も聞く。何度も聴く話だけども,話だけでは学校と教委の関係はなかなか感覚的には理解できない。

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National College for Leadership of Schools and Children's Services

 山西先生と,National College for Leadership of Schools and Children's Servicesを訪問。英国における管理職向け戦略的ICT研修講座であるSLICTについてのインタビュー。日本のプロジェクトの紹介の後,それについての意見や,英国での現状等について伺った。
 ミーティングの場所は,日本で言うと文科省にあたる場所。とても綺麗なオフィスで,紙やファイルは机上にはほとんど無い。机も広いし,什器も綺麗だ。植物もたくさんあり,子どもなどのイラストも壁などにたくさん,サインも分かりやすく綺麗,ここが役所なのかと不思議に思った。

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ビジネスパーソンへの逆提案

 学校の先生が,ビジネスパーソンに「あなたの使っている紙の手帳は古くさいし,改革が必要だから,スマートフォンに変えなさい」と提案したとする。そして,終いには「そうやって古いモノにしがみつくから,営業成績が上がらないのだ」と言われたとする。きっと,そんなことを言われれば良い気分はしないだろうし,学校の先生は,ビジネスを知らないからそんなことを言うとか,紙の手帳の便利さなどを語り,反論するかもしれない。
 学校へのICT導入も似たように思う。学校の先生は,改革せよとか,だから子どもの成績が上がらないんだと,他分野の人に非難されていることに疲れているかも知れない。長い間,改良に改良を重ね積み重ねてきたことには,例え古くてもそれなりの意味がある。学校の先生にとって,教えることやそのためのツールである黒板や教科書等は,ビジネスパーソンにとっての手帳と同様かそれ以上の神聖な意味があると思う。授業でのICT活用は,そういう神聖なことへの提案なんだと,僕は意識するようにしている。
 このロンドンの地で,日本の学校への少しビックリする提案を聞いて,このように反論した。

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英国教育予算事情

 こちらは選挙一色。火山の話題も収まりつつある今,ほとんど選挙。TESにも教員出身の候補者が出ていたりする。そして,各国の教育予算のGDP比が出ていたりする。しかし,もっと教育予算アップを主張するためのデータなので,日本は未掲載。韓国は出ているけども。
 児童・生徒一人あたりの教育費は,1997年から2007年の間に1.85倍に増えたそうだ。教員数は1.08倍に増加,ティーチングアシスタント数は約3倍の増加。教員の給料も初任給は1.24倍,勤続15年で1.07倍に増えたそうだ。そして,ICTにも潤沢な予算。そういう背景があるので,ICT活用を部分的に日本でマネをしてもうまくいかないよなとも思う。
 ただ,予算増による成果はどうなのか? よく英国内での全国統一テストの達成度が上がったとして評価されているようだけども,一部には基準がだんだん緩くなっているだけではないかと批判する人がいる。まだまだ調べないと分からないので結論は分からないけども,PISAやTIMSSといった国際比較テストの結果も一部を除き猛烈にあがった感じでもない。日本は低予算で頑張っているじゃないの,と逆に思ってしまうところもあり,このあたり,上手にまとまっているところ探したり,データを整理中。

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フランス事情

 フランス教育省のTerrades氏とミーティング。フランスで取り組んでいる教育の情報化に関する種々のプロジェクトについて聞く。話を聴いていくと,特に小学校での機器整備が進まない,中高では機器整備は良いがメンテナンスが行き届いていない,教員のスキルがまだ高くない,と説明があり,根本の原因は予算不足であるとのこと。これは何かどこの国と似ているかも知れないと思った。ただ,教員を支援する校務システム,そこで入力されたデータのうち必要な情報を保護者に伝えるシステムの普及は進んでいるようだった。また,教員のICT活用スキルの認証規格があり,それが教員養成の段階で行われているとのことだった。このあたりは,日本よりも進んでいると思われた。
 その後,ルーアン大学のThily氏とミーティング。実際に,教員養成段階でのICT活用スキルの向上の様子について聞いた。この仕組みは,悪く言えばいい加減であり,よく言えば柔軟である。日本だったらあり得ない発想で運営されており,これならば,すぐに日本でも実施できるかもと思った。しかし,それで実際にスキルが身につくかは少し謎だ。とにかく思ったことは,日本は何でも高品質に作ってしまうけど,効果を落としても柔軟にして,とにかく始めてしまうのも方法ではないかと思った。
 結局,フランスの方が,品質を別にして,実際に動いているか,普及しているかの観点で考えれば日本よりも進んでいる部分も多くあると思った。それを実際に先方に伝えてみると,フランスなんてだいぶ遅れているはずなのに,それはないだろうという反応だった。いずれにしても,これまで自分の頭になかった「工夫」の余地について考えさせられたミーティングだった。(しかし,教育工学を学ぶと一番最初に習うことが無視されているんだからなぁ。発想に浮かばなくても仕方ないか。)

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推薦時代

 今日は教員採用選考に伴う大学推薦という連絡メールが続いた。大学から推薦を受けると,1次試験(筆記試験)が免除されるというのが大抵の制度のようだ。そうか…

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結局のところ電子黒板は

 英国滞在も後半の後半に入り,いろいろ書籍を読んだりして,まとめに入っている。新しいことはないので,あまりblogネタはない。
 何度も書きかけて,消してしまった電子黒板のあるblogネタがある。ちょっと勇気がなかった。でも,あの赤堀先生の著書に,我々が思っていることと同じことが書かれていたので,勇気をもらって書いてみる。
 電子黒板に関する書籍や論文を読んで,電子黒板の効果を大きく2つに分けると,「大きく映すことによる効果」と「画面上で操作できることによる効果(インタラクティブによる効果)」になると思う。もちろん,その両者が絡み合って,別の効果を産むこともあるし,それが電子黒板ならではの特徴だと示されていることも多い(ちなみに,「…ならではの活用」という手段が目的になるような話はイマイチだと思うけど)。
 「大きく映すことの効果」は,視聴覚教育の時代から言われてきたと思う。だからこの効果は異論はないだろう。しかし,一方で,いろいろな書籍等を読んでも「インタラクティブによる効果」はぼんやりしている。「先生と電子黒板」或いは「子どもと電子黒板」がインタラクティブにやりとりできていることはわかるが,「先生と子ども」がインタラクティブになり,これまで以上に授業がよくなった,そういう話まではあまり分からない。そして,その両者による相互作用的な効果が示されている場合であっても,実際には大きく映すことによる効果がほとんどのように思える。ましてや,電子黒板の活用が,思考力であるとか,表現力であるとか,高次な学力への効果があると言われれば,空虚な論に思える。そんな簡単にそれらの学力は高まらないのは自明である。
 赤堀先生が書かれた「授業デザインの方法と実際」(高陵社書店)の著書の中で,アメリカのオハイオ州にあるケント州立大学の研究結果を次のように示している。「電子黒板で学習効果を上げている教師とそうでない教師の使い方を比較した結果の一つが,効果的な使い方は可視化のために使い,効果的でない使い方は生徒の動機づけのために使うという違いであった。ペンでタッチすることで画面が変化するので,子どもたちにとって魅力的であることは容易に想像できる。しかし,それだけでは効果は上がらず,教材や作品を可視化するために使うことで効果が上がるという結果であった。」 引用元が示されていないので原典にあたることは出来ていないが,この結果からも電子黒板である必要性は高くなく,やはり教材や教具を大きく映せることが最も重要な機能用件になるといえる。そして,これを電子黒板研究の第一人者の赤堀先生が示されたことも重要な意味があるだろう。
 これまで我々も繰り返し調査をしてきたが,教員が最も効果が高いと感じるICT活用は,教科書やノートを拡大提示することであった。そして,その活用の目的は,学力向上にICTが直接的に寄与するというよりかは,指示を明確にすると言った教員の指導技術をより高めるために使わていた。それは電子黒板でも実現できるけども,全ての日本の教室に導入すべきであるという観点で考えれば,高価な電子黒板である必要がない。ということを,日本の公立学校での普通教室におけるICT機器整備の一つの結論としておこう。
 予算が潤沢にあるなら電子黒板は大変に魅力的なツールであるとは思う。今後,電子黒板に関する研究は,普及的活用と研究的活用を区別しつつ,これらのことに配慮して進めていきたい。

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イースターホリデー

 英国は休暇期間だった。そしてブログも休暇をいただいた。その間,日本では新年度が始まり多くの人が異動したり,新生活を始めているようだ。文科省の大塚さんには情報教育関係で長きにわたりお世話になっていたが,ご栄転になったと聞いた。その他にも,今年の研修でお世話になる様々なセンターの先生からもご栄転の連絡を聞いた。研修で何をするかはコンセプトから打ち合わせる必要があるなと感じた。富山的にも多くの人が異動となったが,向井先生が教頭先生になったのがめでたい。などなどあるが,その中で,一番印象深いおめでたい話は,堀田先生が教授になったことだろう。そして教職大学院に配置換えということで,ますますご活躍されるのではと思う。
 個人的には女の子を授かった。まだ抱っこもしたことが無いので実感はわかないけども,来月富山に戻って,3人一緒に生活をするのが楽しみだ。でも,いろいろあって,実現は6月かも知れないけど。
 英国の教育事情に関する本をいろいろ読んだ。国際比較のテストについても勉強してみた。まあ,これについていろいろあるけども,いずれまた。

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